通信制高校の入学を検討する際に不登校児の親が注意すべき5ポイント

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通信制高校の入学を検討する際に不登校児の親が注意すべき5ポイント 不登校

子どもが不登校だと、全日制高校に入学しても、また不登校になってしまわないか不安ですよね。

その点、通信制高校なら通学回数が少なくてすみます。そのため、進学先として通信制高校を検討している保護者の方もいるのではないでしょうか?

じつは、私もそのひとりです。今、長女は中学2年生ですが、起立性調節障害のため、あまり学校に行けていません。

なので、通信制高校も進学先として視野に入れているところです。先日、長女に「こんな高校もあるみたいだよ」とN高等学校のことを教えたら、自分の理想に近い高校らしく目を輝かせていました。

とはいえ、調べれば調べるほど、現実はそう甘くないことも分かってきます。

そこで今回は、不登校児を持つ親が通信制高校の入学を検討する際に注意すべき5ポイントについて説明します。

  1. 学費が高額になる可能性
  2. 自己管理能力が必要
  3. 大学進学しないならスキルを身につける前提で
  4. 大学進学するなら対策は必須
  5. 最初から通信制高校に入学するか?

ポイント1.学費が高額になる可能性

学費が高額になる可能性

全日制に比べれば学費が安いとはいえ、私立の通信制高校だとそれなりの金額になります。

公立の通信制高校の学費

公立の通信制高校の学費は年約3万円と格安で、就学支援金を利用すればほぼ無料になりますが、卒業が難しいことが気になります。

公立の場合、卒業できた生徒は全体の40%ほど、3年で卒業となると17~18%とかなり少なくなってしまいます。

私立の通信制高校の学費

その点、私立の通信制高校なら、カウンセラーがいて生徒が3年で卒業できるようサポートしてくれるところが多いです。

ただし、学費は自宅学習コースで少なくとも年約25万円からで、通学コースを選ぶとその2倍以上になることも珍しくありません。

サポート校の学費は別にかかる

さらに、通信制高校とは別にサポート校も利用する場合があります。

サポート校とは、通信制高校の「生徒の自主性に任せて学習を進める」という部分をサポートする教育施設で、さまざまなサポートサービスを受けられます。

サポート校への入学は任意ですが、サポート校の学費は通信制高校とは別に必要で、初年度納入金額は50万~100万円と高額です。

専門課程を受講するとさらに負担増に!

私立の通信制高校では、通常の教科以外の専門課程が学べるところが多いです。

学校によって学べることは違いますが、専門課程の例としてはこのようなものがあります。

プログラミング、WEBデザイン、AI、情報処理、小説、イラスト、漫画、キャラクターデザイン、美術、DTM、ゲーム、声優、メイク、ダンス、ボーカル、ファッション、ネイル、美容、ペット、スポーツ、保育、福祉、パティシエ、調理…など

ただし、高卒資格の単位認定のための授業ではなく、任意で受講する選択式の課外授業という扱いになり、これらの専門課程も受講すると負担額は一気に跳ね上がります。

なお、私立通信制高校の学費には就学支援金が適用されますが、サポート校や専門課程には適用されませんので注意が必要です。

ポイント2.自己管理能力が必要

自己管理能力が必要

通信制高校のデメリットとして必ず挙げられるのが、この「自己管理能力が必要」という点です。

通信制高校で勉強することの難しさ

毎日登校して先生やクラスメートと直接会う全日制高校は、さまざまな刺激を受ける機会が多く、勉強のモチベーションを維持するのは比較的容易です。

いっぽう、通信制高校はほとんど通学する必要がありません。

自分のペースで自由に学習できることはメリットでもありますが、自分で自分を管理できなければ勉強が止まってしまうことは容易に想像できますよね。

また、自宅学習がメインなので、分からないことがあってもすぐに聞ける人がそばにいません。

さきほどのサポート校が必要になるのも、以上のような理由からです。

学習習慣を早めに身につけておくのが理想的

このように、卒業するためには全日制以上に自律心を求められるのが通信制高校です。

なので、もし通信制高校に入る可能性があるなら、できるだけ早いうちから学習習慣を身につけておいたほうがよさそうです。

できれば、中学卒業までに学習習慣を身につけておくのが理想的でしょう。

うまくいけば、サポート校を利用する必要がないかもしれません。

通信制高校に行くかどうかに関わらず、学習習慣の有無は生涯の学習コストを大きく左右します。身につけておいて損することはないでしょう。

ポイント3.大学進学しないならスキルを身につける前提で

大学進学しないならスキルを身につける前提で

通信制からの大学進学率は全日制の3分の1

まだ、中学生の時点では大学に進学するかどうかまで考えていないかもしれませんが、「進学しない場合にどうするか」を視野に入れておいた方がよいでしょう。

というのは、通信制高校から大学への進学率は、全日制+定時制の54.7%に比べて18.0%と3分の1くらいしかないからです。

こちらは、通信制高校と全日制・定時制高校の卒業後の進路(平成30年度)を比較したものです。

文部科学省が出している「学校基本調査」(平成30年度)通信制と全日制・定時制の進路比較(平成30年度)

引用元 文部科学省「学校基本調査」(平成30年度)

卒業後、多くが職に就いていない可能性あり

では、進学せずに就職する場合はどうかというと、全日制+定時制17.6%に対して通信制19.6%と就職率は大差ないですが、問題なのは「その他」の比率です。

通信制では「その他」が40.7%もあり、その多くがフリーターやニートになっている可能性があります。つまり、卒業後すぐに職に就くのが難しいと考えられるのです。

就職面接で不利に働くかも

通信制の高卒資格は全日制と変わりませんし、履歴書に「通信制」と明記する必要もありません。採用担当者が通信制と気づかない場合も多いでしょう。

また、鹿島学園のように通信制と全日制の両方ある場合は、履歴書の記載だけではどちらなのか分かりません。

しかし、もし通信制卒だと分かった場合、面接官が偏見を持っていて、そのために就職で不利になる可能性は考えられます

卒業までにスキルを身につける前提で

大学に進学しないということは「学歴で勝負することを捨てる」ということです。であれば、社会に出る前に何かしら武器を身につけておくことを考えたほうがよいでしょう。

そのためには、通信制高校のオプション講座を受けるのも一つの選択肢ですし、それとは別に、自由な時間を使ってネット講座などで何らかのスキルを身につけるのもよいでしょう。

いずれにしても、通信制高校の入学時もしくは入学後できるだけ早い時期に、自分の好きなこと、やりたいことが明確になっていることが理想的です。

そのために親が今できることは、子どもが好きなことや夢中になれることを、肯定して応援してあげることでしょう。

ポイント4.大学進学するなら対策は必須

大学進学するなら対策は必須

通信制は学習内容がやさしすぎる

前述のとおり、通信制高校の大学進学率は18.0%とけっして高くありません。

通信制高校から大学への進学は「可能だが難しい」というのが現状です。

もちろん、通信制高校によって進学率は異なりますが、一般的に通信制は学習内容がやさしすぎるため、なんらかの対策をしないと大学受験には物足りないでしょう。

進学対策は必須

対策としては、通信制高校を選ぶ際に、大学進学実績のある高校や進学コースの充実した通信制高校を選ぶのが、もっともかんたんな方法です。

あるいは、自由時間が多いというメリットを生かして、塾やスタディサプリなどの通信講座で学力アップをはかるのも一つの方法でしょう。

鍵を握るのは学習習慣

いずれにしても、鍵を握るのは学習習慣の有無です。自由時間が多い分、勉強を進められるかどうかは学習習慣の有無に大きく左右されます。

したがって、今のうちにできる限り学習習慣をつけられるようにしておいた方がよいでしょう。

ポイント5.最初から通信制高校に入学するか?

最初から通信制高校に入学するか?

さまざまな入学パターンを想定しておく

通信制高校を視野に入れるといっても、はじめから通信制高校に入学するケースだけではありません。まずは全日制高校に入学してみて、状況次第で通信制に転入するといったケースもあります。

また、ひとことで不登校児といっても、「できれば通学したい」という子もいれば「通学にはこだわらない」あるいは「通学したくない」という子もいるでしょう。

そうなると、はじめから通信制か、とりあえず全日制を目指すか、どちらがよいかは一概には言えません

ウチの場合、長女はまだ中2なので、すぐに結論を出す必要はありませんが、色々なパターンをあらかじめ想定しておくつもりです。

ちなみに、「転入もしくは編入により入学した者は全体の51.7%に達している」との文科省の調査結果があるので、新入学と転編入の比率はおおよそ半々と考えてよさそうです。

引用元 高等学校通信教育の質の確保・向上方策について(審議のまとめ)

転入と編入の違い

なお、その際に注意しないといけないのは、転入と編入の違いです。この違いはあらかじめ知っておいたほうがよいでしょう。

全日制から通信制に移る場合、転入と編入のふたつの方法がありますが、その違いをかんたんにまとめるとこのようになります。

方法 概要 ブランク 3年で卒業 単位の引き継ぎ
転入 いわゆる転校 なし 可能 引き継がれる
編入 中途退学後に入学 あり 不可 前年度分まで可

もっとも大きな違いは3年で卒業できるかどうかです。転入なら3年で卒業できますが、編入だと3年では卒業できません。

なせなら、高校を卒業するには「3年(36カ月分)の就学が必要」と国によって定められているからです。通信制高校の多くは3月と9月の卒業制度を採用しているので、ブランクのある編入の場合、最短でも3年6カ月で卒業することになります。

まずは通信制高校の情報収集から

年々、注目度が高まっている通信制高校ですが、検討する前に具体的にどのような通信制高校があるのかを正確に知っておく必要があります。

それぞれの通信制高校に関して具体的なことを知りたいなら、各校の資料を取り寄せて情報収集しておきましょう。その際には一括資料請求サイトを使うと便利です。

とくに登録高校数が多くて使いやすいのはこちらのズバット通信制高校比較です。

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以上、通信制高校の入学を検討する際に不登校児の親が注意すべき5ポイント…でした。

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