エデュケーション・シフト(Education shift)を『ワーク・シフト』から読み解く

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エデュケーション・シフト(Education shift)を『ワーク・シフト』から読み解く おすすめの教育本

「世の中が大きく変わろうとしているのに、今までと変わらない教育で大丈夫なんだろうか?」

コロナの影響で、今まで常識とされていたものが大きく覆されるようになってきました。それなのに、日本の公教育のシステムは旧態依然のまま。

子どもの将来のことを考えると不安になりますよね。

ベストセラー『ワーク・シフト』では、大きく変わる未来の働き方を2025年をモデルに予測しています。

刊行は2012年ですが、2020年の今読んでもまったく古さを感じないどころか、すでに現実化している予言も一部には見られます。

今回は、この『ワーク・シフト』が描く未来から逆算して、教育はどのように変わるべきか、いわばエデュケーションシフト(Education shift)について考えてみます。

学習習慣を身につける

学習習慣を身につける

職業生活で大きな価値を生み出し、仕事に楽しさを見いだすことを望むのであれば、学校を卒業しても学習は終わらない。生涯にわたり学習と自己研鑽を重ね、たえず成長を続け、エネルギーを自分に注入し続けなければならない。

引用元 ワーク・シフト P297

テクノロジーが進化すると、広く浅い知識や技能を持つゼネラリストの必要性はほとんどなくなって、高いレベルの専門技能を身につけたスペシャリストの需要が高まります。

しかも、専門技能を持っているからといって一生安泰というわけではありません。社会の急速な変化にともなって不要なスキルになってしまうこともあるでしょう。

そのため、生涯にわたって新たな専門技能を身につける「連続スペシャリスト」となるために、絶えず学び続けなければなりません。

ところが、日本では多くの場合「勉強は受験のため」にするものなので、社会人になると途端に勉強をしなくなります。

経済協力開発機構(OECD)が2012年に実施した「国際成人力調査(PIAAC 2012)」でも、その傾向は顕著にあらわれています。

経済協力開発機構(OECD)が2012年に実施した「国際成人力調査(PIAAC 2012)」

引用元 日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

30歳以上の成人のうち「現在、何らかの学位や卒業資格の取得のために学習しているか」との質問に「イエス」と回答した者の割合は、わずか1.6%。調査対象18カ国の中でも最低ランクでした。

しかし、これはある意味チャンスともいえます。大人になってから学習を続けるだけで、その他大勢から差別化できるからです。

そのときに、大きな武器になるのが子どもの時に身につけた学習習慣です。勉強することが、歯を磨くように当たり前の習慣になっていれば、大人になってからの学習も苦になりません。

したがって、これまでのように子供の勉強を「受験のため」といった近視眼的に捉えるのではなく、これからは「生涯学び続けるための学習習慣をつけること」を目的にしていくべきでしょう。

自分のことは自分で決める

自分のことは自分で決める

自分の自由意志に基づいて行動しようと思えば、選択することが避けられない。私たちの前には、いつも多くの選択肢がある。働き方に関して、なにも考えずに漫然と行動するのではなく、意識的に選択をするべきだ。

引用元 ワーク・シフト P362

今までは、生涯同じ会社で働き続けるといった終身雇用のワークスタイルが一般的でした。

しかし、テクノロジーの発展にともなって、伝統的なキャリアと仕事の形態は崩れてきています。これからは、ミニ起業家やフリーランスといった会社の枠に収まらない働き方が珍しくなくなっていくでしょう。

つまり、どのような働き方をするのかについて、個人の選択の余地が大きく広がっていくわけです。

選択肢が広がること自体は歓迎すべきことですが、その恩恵を享受するためには「自分がどのような働き方をしたいのか」を主体的に選択する意思を持たなければなりません。

これまでのように「普通であれば、とりあえず安心」というわけにはいかないんです。

しかし、「自分のことは自分で決める」というのは、一朝一夕で身につくことではありません。子供の頃から、自分の意思で決断して自分の選択に責任を持つといった経験を積んでいる必要があります。

もし、あなたが子どもに対して「~しなさい」が口癖になっているなら要注意です。主体性が奪われて、大人の言われたとおりにしか動けない人間になってしまうでしょう。

最初は小さなことで構いません。

「今日の晩御飯は何を食べたい?」

「今度の休みはどんなところに行きたい?」

そんな質問をして、自分で自分のやりたいことを決めて、人に自分の意思を伝えることに慣れてもらってください。

小さな決断を繰り返すことを通じて、子ども自身の主体的に動ける力が養われていくはずです。

夢中になれる対象を持つ

夢中になれる対象を持つ

自分のやっていることに胸踊らせ、学習と訓練につきものの苦労を楽しみ、手ごわい課題に挑むことにやりがいを感じてはじめて、私たちは本当に高度な専門技能を習得できる。

引用元 ワーク・シフト P270

従来のホワイトカラーが担っていたような付加価値の低い仕事は、AIやロボットに取って代わられるようになり、多くの人が仕事を失うでしょう。

しかも、子どもたちが大人になっている頃には、労働市場のライバルはAIやロボットだけではありません。

カーン・アカデミーのような、ネット上の極めて安価な教育インフラが爆発的に普及したことで、これまで教育の行き届いていなかった場所でも高等教育が受けられるようになってきています。

つまり、今の子どもたちにとっては、いずれ世界の何十億人もの人たちが競争相手になってしまうんです。これはどう考えても、過当競争のレッドオーシャンですよね。

そんな世界で生き抜くためには、自分ならではの高度な専門技能を備えた「替えの効かない人材」にならなければなりません。

では、具体的にどんな専門技能を身につけたらよいのでしょうか?

その他大勢と差別化するには、努力で身につくレベルの技能では足りません。自分にとって、本当に好きなもの、夢中になれるものでなければ勝ち目はないと思ってください。

「努力は夢中に敵わない」からです。

そのためには、子どもが好きなことや夢中になっていることを頭ごなしに否定しない方がいいです。それがたとえゲームや漫画であっても…。

やりたいことを我慢させると、自分で自分にブレーキをかける癖がついてしまいます。この癖は、これからの世の中ではマイナスに作用する可能性が高いでしょう。

「なにかに夢中になれる」って、誰もが本来持っているはずの才能です。それを大人が潰しちゃいけません。

ぜひ子どもの「好き」を応援してあげてください。

信頼の大切さに気づく

信頼の大切さに気づく

情報の透明性が高まるのにともない、自分が取った行動のもたらす結果から逃れられなくなります。

引用元 ワーク・シフト P377

「お金は信頼を数値化したもの」とも言われますが、ネットで世界がつながるようになると、信頼の価値はますます大きくなるでしょう。

たとえばランサーズのようなクラウドソーシングのマーケットがネット上にはいくつかありますが、起業家やフリーランスが仕事を受注しようとする場合、顧客はこのようなマーケットでの格付けを確認して依頼するかどうかを判断します。

また、最近ではSNSやブログでの発信内容を見て、直接仕事を依頼するといったケースも珍しくありません。

自分の評判を保つために積極的に評判をマネジメントすることは、今後ますます重要になっていくはずです。

もちろん、昔から信頼が社会の一員として行きていくために大切であったことは変わりありませんが、ネットの普及が情報の透明性を高めたことで、よりいっそう価値ある資源となってきています。

行動を通して自分自身の信用を築くことに道徳的な意味があることはもちろんとして、これからの世界を生き抜いていくためには、積極的に評判をマネジメントする必要があることを伝えていくべきでしょう。

ネット空間で発信する

ネット空間で発信する

他人に上手にものを教え、多様性の強みを最大限生かし、たとえバーチャルな付き合いでもうまくコミュニケーションを取る技能が不可欠だ。

引用元 ワーク・シフト P306

信用が大きな個人資産になっていくのであれば、自分がどのような人間で、どのような考えを持ち、なにができるのかを積極的に発信しなければなりません。

個人の差別化が難しくなっていくなかで、SNSやブログを通じて発信していくセルフマーケティングは必須のスキルになってきます。

いまだに「子どものSNSは禁止しなければ!」などという意見もあるようですが、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。

また、今後はリモートワークがさらに普及していくでしょう。

すると、SNS等を通じてコミュニケーションを取り、ネット上の誰かと共創していくスキルはますます重要になってくるはずです。

もちろん、慣れないうちはネットの危険性もしっかり教えていく必要があります。しかし、完全にネットでの発信を禁止してしまえば、今後の社会では必須のスキルを身につける機会を失ってしまうでしょう。

結果的に、大人になったときに非常に不利な立場に置かれてしまうかもしれません。

したがって、子どもがネットを通じて自分の考えを発信したり、ほかの誰かとコミュニケーションを取ろうとするのであれば、親は不必要に抑えようとするのではなく、適度に見守っていく姿勢が求められます。

まずはスタサプの「未来の教育講座」から

今回は『ワーク・シフト』の中でも、教育に関わりそうなことだけをピックアップしてみましたが、その示唆するところは、子どもたちだけでなく私たち現役世代にも大いに関わってくる内容です。

まだ『ワーク・シフト』を手にしたことがないなら、ぜひ読んでみてください。

とはいえ、そのボリュームは430ページと膨大です。価格もそれなりですので、なかなか手を出しにくいですよね。

「重要なところだけでも知りたい」、あるいは「子どもにもぜひ伝えたい」のであれば、スタディサプリの未来の教育講座に用意されている『大きくなったら何になる?』を視聴されることをおすすめします

「その講座を見るためだけにスタディサプリに入会するのはちょっと…」という方は、14日間の無料体験もできますので、その期間を使ってお子さんと一緒にご覧になってはいかがでしょうか?

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以上、エデュケーション・シフト(Education shift)を『ワーク・シフト』から読み解く…でした。

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